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陸上長距離の練習メニュー・理論はダニエルに学べ!(中学・高校)①

中高生長距離ランナー、指導者のみなさん、日々トレーニングに励んでいますか?

 

トレーニングの目的はもちろんタイムを縮めることですが、そのためにもっとも効果的な練習メニューとはどんなものでしょうか?

 

よく「もっと距離を踏まないと」とか「速いペースで練習しないと」なんていうことを聞きますが、いったいどれくらいの距離をどのくらいのペースで走るともっとも効果が高いのでしょうか?

 

単純に距離を伸ばすだけでタイムが出るのなら、その辺でよく見かけるジョギング好きのおじさんだってかなり速く走れるようになっているはずですが、日々記録を伸ばしているようには(1500mや3000mでは)見えません笑。

また、速く走れば速く走るほど記録が伸びるのなら、毎日タイムトライアルばかりやっていれば一番結果が出るはずですが、そんなことはないですよね。というかまず、嫌ですよね笑。

 

一番効果が高いのは言うまでもなく、選手個人に合ったメニュー、言い換えれば本人が記録を伸ばすために一番効果的な負荷がかけられるメニューということになります。

選手によってはもともと高い持久力をとスピードをもち、短距離的な練習や動きづくり、ジョグとたまに300~1000m程度のレペティションを入れれば十分記録が伸びるというものもいたりしますが、チーム全体で強くなるためにはベースとなる練習と、それを支える理論がしっかりしていないといけません。

 

正しい理論をもっていないと、いくら「記録を伸ばすために」と一生懸命練習メニューを考えても、まったく見当違いな練習になってしまいます。特に指導者は、経験論だけでなく(むしろ選手として活躍した指導者の経験論が時にマイナスになることも多い)ある程度理論について勉強しないといけません。ページトップで紹介しているジャック・T・ダニエルズ氏のランニングフォーミュラは読んでおくべき一冊だと思います。

 

ランニングフォーミュラは、マラソントレーニングを強く意識した内容なので、中高生アスリートに活かすには調整が必要ですが、練習メニュー・ペースを考える上での基本的な理論をしっかりと学ぶことができます。また、ダニエルズ氏のすごいところは、選手の自己ベスト記録をもとにVDOT(一分間の最大酸素摂取量)とよばれる数値を導き出し、そのVDOTから最適なトレーニングペースを表で示しているところです。

 

まずこの表から自分のVDOTを知る。

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 1500m自己ベストが4分35秒ならVDOTは60です。また、この表からVDOT60であれば3000mを9分50秒、5000mを17分03秒で走る力があることがわかります。距離によってVDOTの記録が変わる場合は、自分のメインとなる距離(中学女子なら1500m、中学男子・高校女子3000m、高校男子5000m)の数値をとってください。どちらかといえば、なるべく長い距離のVDOTを使うほうが、メニューに正確に反映される気がします。

 

次にこの表から自分に適した練習ペースを知る。f:id:karakumablog:20190323235138p:plain

 ちなみにこれを簡単に計算してくれるサイト・アプリもあります。ここでは自己ベストによってVDOTを「66.3」のように小数点まで出して、より正確なメニューを知ることができます。英語表記ですが、「Select Event Distance」で距離を選び、その下「Time」に記録を入力(mm:分、ss:秒)して、下の青い「Calculate」ボタンを押します。すると下に計算結果が出てきますので、「Race Paces  Training  Equivalent」の「Training」を押すと練習メニューが出てきます。

ペースの表記について

E(Easy):ジョグ、ペースジョグに使用

M(Marathon):もとはマラソントレーニング用。中高生なら少しペースを落としたペース走に使用。

T(Threshold):速めの(いわゆるLT向上のための)ペース走に使用。

I(Interval):インターバル用。ただし中高生の1000m未満のインターバルの場合はこの設定では少し遅いです。1000mなら3~5本をそこそこ速めの200mJOGでつなぐ場合にこのペースを使うといいです。

R(Repetition):レペのペース。ただし、全力にはなりきらないペースなので1000m1本のみの練習には物足りないペース。何かの練習の後、少し時間を空けて最後に1本、というときなどにちょうどいいかもしれません。

 

もちろん、この表のトレーニングがすべての人にあてはまるわけではありません。長距離選手の中でも短長どちら向きかという違いがありますよね。3000mの記録が同じAさんBさんでも、1500mならAさん、5000mになるとBさんのほうが速いなんてことはよくあることです。ただしそうした場合でも、ペース走をするときは5000m自己ベストのVDOTレベルで、インターバルの時は1500mのVDOTレベルで、とメニューによって使い分けていくこともできます。

 

次回は、長距離を走るうえで伸ばすべき体の機能と、そのために上記ペースをどのように練習に活かしていくのかということを紹介していきます。

 

陸上長距離の練習メニュー・理論はダニエルに学べ!(中学・高校)②